シロイカゲ
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キリ番踏んだ人でリクエストあるとか、キリ番近くでリクエストあるとか、まったく関係ないけどリクエストあるとか、そんな人はどうぞ。
意見、要望とかも。
うーん。封印ってどうやって破られるんだっけ? もう一度アカイイトやり直さないとダメっぽい。しかし、時間が。マリみての桂さんと大違いのアカイイトの桂(ケイ)。主人公のはずなのに敵に捕まってばかりのヒロイン体質。そして、やけに妖艶な吸血シーンが大好きです。最近の小説は一人称ばかり使ってたから三人称の書き方忘れがち。これはまずい。
キリ番踏んだ人でリクエストあるとか、キリ番近くでリクエストあるとか、まったく関係ないけどリクエストあるとか、そんな人はどうぞ。
意見、要望とかも。
うーん。封印ってどうやって破られるんだっけ? もう一度アカイイトやり直さないとダメっぽい。しかし、時間が。マリみての桂さんと大違いのアカイイトの桂(ケイ)。主人公のはずなのに敵に捕まってばかりのヒロイン体質。そして、やけに妖艶な吸血シーンが大好きです。最近の小説は一人称ばかり使ってたから三人称の書き方忘れがち。これはまずい。
リン
鈴の音が鳴る。
あまりに小さい音だったから始めは幻聴でも聞こえたのだろうとあまり気にすることもなく祐巳は卒業アルバムを片付けようとした。
リン。
もう一度鈴の音が鳴る。
今度は祐巳の耳に確実に届いていた。
その音は本棚の奥の方から聞こえてきた。祐巳から陰になっていてそこに誰がいるか把握することはできない。
「誰かいるの?」
だから、鈴の音が鳴った方へむけて祐巳は言葉を投げかける。
「ふふ」
笑い声。
少なくとも祐巳の知っている声ではなかった。だけど、その声はあまりに無邪気であまりにも恐ろしかった。
急に周りの空気の温度が下がっていくようなそんな錯覚を祐巳は感じる。
「誰、答えて?」
反応がないことに恐くなってきた祐巳は逃げる準備を始めながら後ろに一歩また一歩後退していった。まさか学校の怪談なんてものを高校生にもなって信じているわけではなかったが、それでもやっぱり怖いものは怖い。
そして、タイミングを見計らって逃げようと振り返ると。
ドン、と思い切り誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
祐巳は慌てて謝るが、まるでマリア様のような顔で微笑んでいるその人の顔を見ると安堵の溜め息をついた。蔦子さんに見せてもらった写真に写っていた山百合会の生徒・久保栞が立っていた。
「こんなところでどうしたの?」
栞は優しい声で祐巳を受け止める。
「あの鈴の音が」
祐巳はそう言いかけて言葉を飲み込んで俯いた。
鈴の音がしたことが恐くて逃げ出したなんていった日には大笑いされることは目に見えていたからだった。
「ほら、顔を上げて」
「へ」
栞に頬を両手で優しく包まれて思わず顔を上げた。
「あ」
そして、祐巳は言葉にもならない声をだした。
マリア様のように微笑んでいたはずの笑顔は冷笑に変わっていて瞳は赤々と光っていた。祐巳はその瞳に見つめられると、声を出そうにも口が開かなくて、逃げ出そうにも体が動かなくて、そのまま長テーブルの上に押し倒されてしまった。
「ふふ、どうしたの? その鈴の音ってもしかしてこれのことだった?」
ポケットから取り出したケータイにストラップ代わりにつけられていた鈴がまたリンとその存在を主張していた。
それだけで祐巳は全てを理解した。
この人はまずい。
「いやぁ」
「贄の血。あなたからまさかここに来てくれるなんて思いもしなかった」
「何よそれ? 私は贄の血なんて知らない。一体何なのよ?」
「何も知らされていないのね。この学園に封じられてしまった私の体を取り戻すためにあなたの血が必要なのよ」
頬に這わせた手を下ろし、その手は首へと向かう。日焼けしていない白い首。
「っあ」
首に痛みが走る。
「虜にしてあげましょうか? 私に血を吸われたいと自らが思うように」
栞は祐巳の首に噛み付いて血をすっていた。
「ふ、っく」
その姿はまるでマリア様が子供を抱擁するかのように神聖な雰囲気を醸し出しているのに、やっていることはまるで違うことだった。
「待ちなさい」
凛とした声が祐巳の頭に響く。
栞は忌々しそうに祐巳を手で押さえたまま振り返った。
「今、取り込み中よ。空気の読めない人って嫌い」
そんな軽口を叩いているが、表情に余裕はなく相手との邂逅を喜んでいる様子もなかった。
祐巳はその声がしたほうを解放された首を何とか捻ってみると、夢で見たヘアバンドの女の人がリリアンの制服を着て立っていた。
「離れなさい」
その言葉と同時に手を広げるとあたり一面に青白い蝶が現れた。
「ふう」
溜め息をつくと祐巳を起き上がらせて抱き込む。祐巳を人質にして相手が攻撃できないようにしているのだ。
どれくらいにらみ合っただろう。
先に折れたのは栞だった。
「まあいいわ。どうせ今はまだ必要ではないから」
そう言うと祐巳の肩を押して離した。
急に押されて倒れそうになった祐巳だったが、助けにきてくれた女の人の腕の中にいつの間にか納まっていた。
「それではまた、満月の夜にでも」
そういい残して栞さまは去っていった。
満月の夜に一体何があるのだろうか、祐巳には分からなかった。
「大丈夫だった?」
「はい、えっとあなたは?」
「私は鳥居江利子。あなたには贄の血が流れている。その血は人ならざるものを引き寄せてしまう。だから気をつけて」
江利子はそういって一息ついた。
「ほら怪我治してあげるから」
そう言うと江利子は祐巳の首に優しく手を当てる。すると手の当てられたところが青白く輝いて栞に吸われた首の傷をゆっくりと癒していった。
心地の良い光りだった。
「もう大丈夫ね」
「あの」
それよりも祐巳はどうして江利子が自分のことを助けてくれたのかとか、夢に出てきた江利子と同一人物なのかとか聞きたいことがいっぱいあった。
だけど祐巳の口を人差し指で押さえて、
「もし何かあったら聖に聞いて。話せることは話してくれるはずだから」
それだけ言うと江利子の体はどんどん透けていって次第に見えなくなってしまった。
「まって」
祐巳が叫んだときにはすでに遅く、そこにはもう誰もいなかった。
性質の悪い夢でも見たのだろうかと、祐巳は首に手をやるが栞に噛まれたはずの傷はどこにもなくなっていた。
それでもまだ残る痛みが夢じゃないことだけは教えてくれた。
一体何なんだろうか。
頭の中でぐるぐる旋回する疑問を解決してくれる人はどこにもいなかった。
「なによこれ?」
お母さん大変なことになりそうです。
でも、ここに行けといったお母さんのことだから全部わかっているんだろうな、と祐巳は心の中で溜め息をついた。
鈴の音が鳴る。
あまりに小さい音だったから始めは幻聴でも聞こえたのだろうとあまり気にすることもなく祐巳は卒業アルバムを片付けようとした。
リン。
もう一度鈴の音が鳴る。
今度は祐巳の耳に確実に届いていた。
その音は本棚の奥の方から聞こえてきた。祐巳から陰になっていてそこに誰がいるか把握することはできない。
「誰かいるの?」
だから、鈴の音が鳴った方へむけて祐巳は言葉を投げかける。
「ふふ」
笑い声。
少なくとも祐巳の知っている声ではなかった。だけど、その声はあまりに無邪気であまりにも恐ろしかった。
急に周りの空気の温度が下がっていくようなそんな錯覚を祐巳は感じる。
「誰、答えて?」
反応がないことに恐くなってきた祐巳は逃げる準備を始めながら後ろに一歩また一歩後退していった。まさか学校の怪談なんてものを高校生にもなって信じているわけではなかったが、それでもやっぱり怖いものは怖い。
そして、タイミングを見計らって逃げようと振り返ると。
ドン、と思い切り誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
祐巳は慌てて謝るが、まるでマリア様のような顔で微笑んでいるその人の顔を見ると安堵の溜め息をついた。蔦子さんに見せてもらった写真に写っていた山百合会の生徒・久保栞が立っていた。
「こんなところでどうしたの?」
栞は優しい声で祐巳を受け止める。
「あの鈴の音が」
祐巳はそう言いかけて言葉を飲み込んで俯いた。
鈴の音がしたことが恐くて逃げ出したなんていった日には大笑いされることは目に見えていたからだった。
「ほら、顔を上げて」
「へ」
栞に頬を両手で優しく包まれて思わず顔を上げた。
「あ」
そして、祐巳は言葉にもならない声をだした。
マリア様のように微笑んでいたはずの笑顔は冷笑に変わっていて瞳は赤々と光っていた。祐巳はその瞳に見つめられると、声を出そうにも口が開かなくて、逃げ出そうにも体が動かなくて、そのまま長テーブルの上に押し倒されてしまった。
「ふふ、どうしたの? その鈴の音ってもしかしてこれのことだった?」
ポケットから取り出したケータイにストラップ代わりにつけられていた鈴がまたリンとその存在を主張していた。
それだけで祐巳は全てを理解した。
この人はまずい。
「いやぁ」
「贄の血。あなたからまさかここに来てくれるなんて思いもしなかった」
「何よそれ? 私は贄の血なんて知らない。一体何なのよ?」
「何も知らされていないのね。この学園に封じられてしまった私の体を取り戻すためにあなたの血が必要なのよ」
頬に這わせた手を下ろし、その手は首へと向かう。日焼けしていない白い首。
「っあ」
首に痛みが走る。
「虜にしてあげましょうか? 私に血を吸われたいと自らが思うように」
栞は祐巳の首に噛み付いて血をすっていた。
「ふ、っく」
その姿はまるでマリア様が子供を抱擁するかのように神聖な雰囲気を醸し出しているのに、やっていることはまるで違うことだった。
「待ちなさい」
凛とした声が祐巳の頭に響く。
栞は忌々しそうに祐巳を手で押さえたまま振り返った。
「今、取り込み中よ。空気の読めない人って嫌い」
そんな軽口を叩いているが、表情に余裕はなく相手との邂逅を喜んでいる様子もなかった。
祐巳はその声がしたほうを解放された首を何とか捻ってみると、夢で見たヘアバンドの女の人がリリアンの制服を着て立っていた。
「離れなさい」
その言葉と同時に手を広げるとあたり一面に青白い蝶が現れた。
「ふう」
溜め息をつくと祐巳を起き上がらせて抱き込む。祐巳を人質にして相手が攻撃できないようにしているのだ。
どれくらいにらみ合っただろう。
先に折れたのは栞だった。
「まあいいわ。どうせ今はまだ必要ではないから」
そう言うと祐巳の肩を押して離した。
急に押されて倒れそうになった祐巳だったが、助けにきてくれた女の人の腕の中にいつの間にか納まっていた。
「それではまた、満月の夜にでも」
そういい残して栞さまは去っていった。
満月の夜に一体何があるのだろうか、祐巳には分からなかった。
「大丈夫だった?」
「はい、えっとあなたは?」
「私は鳥居江利子。あなたには贄の血が流れている。その血は人ならざるものを引き寄せてしまう。だから気をつけて」
江利子はそういって一息ついた。
「ほら怪我治してあげるから」
そう言うと江利子は祐巳の首に優しく手を当てる。すると手の当てられたところが青白く輝いて栞に吸われた首の傷をゆっくりと癒していった。
心地の良い光りだった。
「もう大丈夫ね」
「あの」
それよりも祐巳はどうして江利子が自分のことを助けてくれたのかとか、夢に出てきた江利子と同一人物なのかとか聞きたいことがいっぱいあった。
だけど祐巳の口を人差し指で押さえて、
「もし何かあったら聖に聞いて。話せることは話してくれるはずだから」
それだけ言うと江利子の体はどんどん透けていって次第に見えなくなってしまった。
「まって」
祐巳が叫んだときにはすでに遅く、そこにはもう誰もいなかった。
性質の悪い夢でも見たのだろうかと、祐巳は首に手をやるが栞に噛まれたはずの傷はどこにもなくなっていた。
それでもまだ残る痛みが夢じゃないことだけは教えてくれた。
一体何なんだろうか。
頭の中でぐるぐる旋回する疑問を解決してくれる人はどこにもいなかった。
「なによこれ?」
お母さん大変なことになりそうです。
でも、ここに行けといったお母さんのことだから全部わかっているんだろうな、と祐巳は心の中で溜め息をついた。
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