黄薔薇の蕾まっしぐら
拍手返信に続きは無理そうなんて言った割りに続きができてしまったので載っけます。この話はとりあえず祐巳×江利子がいちゃいちゃするような話が書きたいと思ったことがきっかけです。場面は江利子の援交騒動の時です。
拍手で言っていたような展開になるかは見てのお楽しみ。
どれだけの長さになるかはわかりませんが、今回は短いと思います。ではでは江×祐好きもそうでない人も見て楽しんでいただけると幸いです。
私が教室に忘れ物を取りに行くと蔦子さんが教室の机に写真を広げて頭を抱えていた。
「どうしたの?」
私が声をかけると蔦子さんは驚いたように振り返って、慌てて取り繕った。
「祐巳さん! 何でもないの」
もっともそうやって隠されたら見たくなるのが人情というもので、机に広げている一枚の写真を手に取った。
「それはダメ」
そう蔦子さんが叫んだときには遅く、お姉さまが二十代くらいの男の人と手を組んで歩いている姿が写っていた。
「嘘」
もっともお姉さまが彼氏を作るのは当然のありえることなのかもしれない。だけど私はそのことを何も知らされていなかった。
「まったく、だから見せたくなかったのに」
蔦子さんはこめかみを抑えて溜め息をついていた。
だけど、その時に蔦子さんがさりげなく他の三枚の写真を私に見せないようにしまっているのを見逃さなかった。
「蔦子さん、そっちの写真は?」
「なんでもないって」
う、と明らかに何かを隠している様子の蔦子さん。だけど半年もお姉さまに鍛えられた私から簡単に隠せるはずがない。
「見たら後悔するよ」
「そんなの慣れてる。だけど見ないで後悔は絶対したくない」
蔦子さんははぁ、と溜め息をついた。
「最近の祐巳さんは強くなりすぎだ。私なんかじゃ手が負えない。まぁ、さすがは来年の黄薔薇様といったところかな。私は昔の百面相をしていたころの祐巳さんも好きだったけどね」
「今は嫌いなの?」
「まさか! 今はさらに魅力的になったよ」
「ならいいじゃん」
「まあね」
蔦子さんは降参だ、というように手を上げて隠そうとしていた写真を取り出した。そこに写っていたのはお姉さまとそしてまた男の人。
だけど、その男の人は一枚目の写真の人とは違くて、二枚目も、三枚目も、四枚目も。
「言いたくないんだけど、黄薔薇様は毎夜男の人を変えて遊んでいるらしいの」
援助交際。
不吉な文字が頭に浮かぶ。
「お姉さまに限ってそんなことはない」
「祐巳さん」
蔦子さんは私を呼び止めていたけど、最早何も頭に入ってこなかった。そういえば最近お姉さまに会っていない。
受験だからしょうがないと少し前なら割り切れていたが、お姉さまの受験は五日前に終わっているはずなのに。
お姉さまに会いたい。
お姉さまに今すぐ会いたい。
だけど、今日お姉さまは学校に来ていらっしゃらなかった。
「お姉さまに会いたい」
そして、ちゃんと話を聞いてこのもやもやした気持ちをどうにかしたかった。
私が朝、学校への道を歩いていると前に見慣れた姿があった。ヘアバンドをつけて眠そうに歩いているお姉さまだった。
「お姉さま!」
私の声に振り返ったお姉さまは少し笑顔になって、それが私にはなんだかとても嬉しかった。
「祐巳、どうしたの? そんなに慌てて」
そんなつもりはなかったのだけど、どうやらお姉さまには何でもお見通しみたいだった。どうしても蔦子さんから借りた写真の真偽を聞いておきたかったのだった。もちろんお姉さまがそんことをしていないというのは分かっている。
分かっているはずなのにどうしてもお姉さまから違うというその一言を聞きたかったのだった。
「お姉さま、あの」
写真は、という言葉を私は飲み込んだ。
なぜなら、学園一美しいと言われたお姉さまのタイが曲がっていたからだった。
「どうしたの?」
不思議に思ったのかお姉さまが聞いた。
「あの、タイが」
私に言われてタイを見下ろし、これねと頷いた。
「いつもと違う場所にクリーニングに出したら変な場所にしわが入っちゃってね」
「お姉さまは今日は親戚の方のお家から来た、とか?」
昨日蔦子さんから聞いた「最近家に帰ってないらしいよ」という言葉が頭の中にリフレインされる。
「何言ってるの? 自分の家からに決まってるでしょ」
お姉さまはその事実を否定して髪を掻きあげる。
だけど、私はその後ろについているHOTELとついたタグに気づいてしまった。
なぜお姉さまは私に嘘をついてまでホテルに泊まっていたということを隠すのだろうか。最悪な考えがどんどん頭をよぎっていく。
結局写真のことを聞くことはできなかった。
「行きましょう、祐巳」
「はい、お姉さま」
私はそんな心配を気取られないようにお姉さまの後を追っていった。
拍手で言っていたような展開になるかは見てのお楽しみ。
どれだけの長さになるかはわかりませんが、今回は短いと思います。ではでは江×祐好きもそうでない人も見て楽しんでいただけると幸いです。
私が教室に忘れ物を取りに行くと蔦子さんが教室の机に写真を広げて頭を抱えていた。
「どうしたの?」
私が声をかけると蔦子さんは驚いたように振り返って、慌てて取り繕った。
「祐巳さん! 何でもないの」
もっともそうやって隠されたら見たくなるのが人情というもので、机に広げている一枚の写真を手に取った。
「それはダメ」
そう蔦子さんが叫んだときには遅く、お姉さまが二十代くらいの男の人と手を組んで歩いている姿が写っていた。
「嘘」
もっともお姉さまが彼氏を作るのは当然のありえることなのかもしれない。だけど私はそのことを何も知らされていなかった。
「まったく、だから見せたくなかったのに」
蔦子さんはこめかみを抑えて溜め息をついていた。
だけど、その時に蔦子さんがさりげなく他の三枚の写真を私に見せないようにしまっているのを見逃さなかった。
「蔦子さん、そっちの写真は?」
「なんでもないって」
う、と明らかに何かを隠している様子の蔦子さん。だけど半年もお姉さまに鍛えられた私から簡単に隠せるはずがない。
「見たら後悔するよ」
「そんなの慣れてる。だけど見ないで後悔は絶対したくない」
蔦子さんははぁ、と溜め息をついた。
「最近の祐巳さんは強くなりすぎだ。私なんかじゃ手が負えない。まぁ、さすがは来年の黄薔薇様といったところかな。私は昔の百面相をしていたころの祐巳さんも好きだったけどね」
「今は嫌いなの?」
「まさか! 今はさらに魅力的になったよ」
「ならいいじゃん」
「まあね」
蔦子さんは降参だ、というように手を上げて隠そうとしていた写真を取り出した。そこに写っていたのはお姉さまとそしてまた男の人。
だけど、その男の人は一枚目の写真の人とは違くて、二枚目も、三枚目も、四枚目も。
「言いたくないんだけど、黄薔薇様は毎夜男の人を変えて遊んでいるらしいの」
援助交際。
不吉な文字が頭に浮かぶ。
「お姉さまに限ってそんなことはない」
「祐巳さん」
蔦子さんは私を呼び止めていたけど、最早何も頭に入ってこなかった。そういえば最近お姉さまに会っていない。
受験だからしょうがないと少し前なら割り切れていたが、お姉さまの受験は五日前に終わっているはずなのに。
お姉さまに会いたい。
お姉さまに今すぐ会いたい。
だけど、今日お姉さまは学校に来ていらっしゃらなかった。
「お姉さまに会いたい」
そして、ちゃんと話を聞いてこのもやもやした気持ちをどうにかしたかった。
私が朝、学校への道を歩いていると前に見慣れた姿があった。ヘアバンドをつけて眠そうに歩いているお姉さまだった。
「お姉さま!」
私の声に振り返ったお姉さまは少し笑顔になって、それが私にはなんだかとても嬉しかった。
「祐巳、どうしたの? そんなに慌てて」
そんなつもりはなかったのだけど、どうやらお姉さまには何でもお見通しみたいだった。どうしても蔦子さんから借りた写真の真偽を聞いておきたかったのだった。もちろんお姉さまがそんことをしていないというのは分かっている。
分かっているはずなのにどうしてもお姉さまから違うというその一言を聞きたかったのだった。
「お姉さま、あの」
写真は、という言葉を私は飲み込んだ。
なぜなら、学園一美しいと言われたお姉さまのタイが曲がっていたからだった。
「どうしたの?」
不思議に思ったのかお姉さまが聞いた。
「あの、タイが」
私に言われてタイを見下ろし、これねと頷いた。
「いつもと違う場所にクリーニングに出したら変な場所にしわが入っちゃってね」
「お姉さまは今日は親戚の方のお家から来た、とか?」
昨日蔦子さんから聞いた「最近家に帰ってないらしいよ」という言葉が頭の中にリフレインされる。
「何言ってるの? 自分の家からに決まってるでしょ」
お姉さまはその事実を否定して髪を掻きあげる。
だけど、私はその後ろについているHOTELとついたタグに気づいてしまった。
なぜお姉さまは私に嘘をついてまでホテルに泊まっていたということを隠すのだろうか。最悪な考えがどんどん頭をよぎっていく。
結局写真のことを聞くことはできなかった。
「行きましょう、祐巳」
「はい、お姉さま」
私はそんな心配を気取られないようにお姉さまの後を追っていった。
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コメント
お初にお目にかかりまするー
No title
初めまして。
デザイアさんの作品は昔から見せてもらっていました。
というか私、内弁慶なもので……他の人のサイトにコメントとか残せない性質なんです(泣)
わざわざありがとうございました。
デザイアさんの作品は昔から見せてもらっていました。
というか私、内弁慶なもので……他の人のサイトにコメントとか残せない性質なんです(泣)
わざわざありがとうございました。
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なんか、時々、きていたようなので・・・
とりあえず、名前を名乗るなら・・・自分からだろうぅ・・・と、言うことで・・・挨拶しに着ました。
面白いですよ。
では・・・