kiss you(追加の追加)
12/3 桂さん、祐麒を追加しておきました。
11/11 乃梨子、志摩子さん、黒志摩子、祥子さまを追加しておきました。
11/10 由乃さん、可南子、景さん、蔦子さんを追加しておきました。
暴走した。
後悔はしてない……はず。ニコ動でなのはのMADを見てたら浮かんだ。ちなみにそのMADとこのssの関連性は皆無です。でもインスピレーションってそんなものよね。構想0分。書き上げ20分。しかも今までの作品とノリ(書いている本人含め)が違うので、見る際には十分注意が必要です。
更新遅くなるとか言っておきながら今日二本目という……何やってんだorz
11/11 乃梨子、志摩子さん、黒志摩子、祥子さまを追加しておきました。
11/10 由乃さん、可南子、景さん、蔦子さんを追加しておきました。
暴走した。
後悔はしてない……はず。ニコ動でなのはのMADを見てたら浮かんだ。ちなみにそのMADとこのssの関連性は皆無です。でもインスピレーションってそんなものよね。構想0分。書き上げ20分。しかも今までの作品とノリ(書いている本人含め)が違うので、見る際には十分注意が必要です。
更新遅くなるとか言っておきながら今日二本目という……何やってんだorz
聖様の場合。
「ゆーみちゃん、ちゅーさせてよ。ちゅー」
「何馬鹿なことおっしゃってるんですか? ここ学校ですよ」
「いいじゃん、けち」
「よくありません」
「じゃあ、いいよ。蓉子にでもしてもらおうかな」
「あ、」
「どうしたの?」
「ニヤニヤしないでください」
「ニヤニヤ」
「もういいです! 蓉子様にでもキスしてもらえばいいじゃないですか」
「ごめーん。怒んないでよ」
「許しません」
「ごめんってば」
「聖さまはいつだってそうやって」
「そうやって?」
「そうやって私の気持ちを弄んで遊ぶんです!」
ぐい、と聖さまの腕を引っ張って祐巳は聖の唇に自分のそれを押し当てた。
蓉子様の場合。
「ねえ、祐巳ちゃん?」
「はい!」
「その、キスしない?」
「えっ?」
「こ、こんなことをこんな場所で言うのは私もどうかと思うのよ。それは自分が一番よく分かっているの。私も自分の気持ちが不思議なくらい」
「えっと」
「ええ、分かっているわ。そうやって軽蔑の目で私を見ないで。こんなことを考える私のことを軽い女だとか節操がないって思っているんでしょう?」
「あの」
「いいの。軽蔑されてもしょうがないことを私は言ったのだから、でも祐巳ちゃんを見てるとなぜか自分のことが……」
祐巳の言葉をまるで聞こうとしない蓉子さまの口を自分の口でふさいだ。
蓉子様は信じられないように目を見開いていた。
どれくらいそうしていただろうか。ようやく二人は離れた。
「私も蓉子さまとキスしたいと思ってました」
祐巳の一言に蓉子さまはリンゴのように顔を真っ赤にして下を向くのだった。
江利子様の場合。
「祐巳ちゃん」
「はい!」
「私が今、何を考えてるか分かる?」
「えー、分かりませんよ」
「じゃあ当ててみて」
「えっと、メンバーの集まりが遅いとか?」
江利子さまは首を振る。
「最近、令さまのへたれぷりに磨きがかかってるとか」
「祐巳ちゃん、そんなこと思ってたの?」
「いえ、今のは江利子さまの気持ちを予想して言っただけです。私はそんなこと思ってませんよ」
「ふふ」
「嘘じゃありません!」
「まあ、いいわ。そういうことにしといてあげるから」
「せめてヒントをください」
「そうね、面白いこと……かな?」
「そんなのわかるはずないじゃないですか」
「そう?」
「そうですよ」
「じゃあ、答え教えてあげるわ。祐巳ちゃんの唇がどんな味なんだろうって思ってたのよ」
「えっ?」
祐巳が江利子さまの答えの意味を頭の中で咀嚼する前に江利子さまの唇が祐巳の唇を奪っていた。
「ストロベリー、とはさすがにいかないわね」
「え、えーーーーーーーーーー」
由乃さんの場合
「祐巳さん、好きだーーーーーーー」
「うわっ」
祐巳は突然襲い掛かってきた由乃さんに強引にキスされた。
可南子の場合
「可南子ちゃんにキスするとなると、私は階段三つくらい上がらなきゃいけくなるね」
「祐巳さま、階段を三つも上がってしまっては高さの問題を解決できても距離の問題で届かなくなってしまうのでは?」
「あ、そうか」
「そうです。それに祐巳さまがもし私にキスをしたいとおっしゃるならばしゃがんで背を合わせるくらいやってみせます」
「それじゃあ意味がないんだな」
「それはどういう?」
「こうね、もっと自然の流れでしたいなー、と」
「自然の流れですか? それなら」
そう言うと可南子は祐巳の頬に手を当てて優しくキスをした。
「こうするのが一番自然だと私は思います、祐巳さま」
景さんの場合
「祐巳ちゃん」
「景さま」
見つめ合う二人。
「本当にいいんですか?」
「いいの。やらせて。……むしろやりたい」
「はい」
蔦子さんの場合
「困った」
「どうしたの? 蔦子さん」
「いや、撮りたい写真があるんだけど、どうやって撮っていいかわからなくて」
「珍しいね、写真部のエースでもそんなことで悩むんだ。どんな写真が撮りたかったの?」
「私の好きな人が、私とキスをする時に見せる顔」
「それは難しいね」
「うん。カメラ構えたまま、キスするわけにもいかないからね」
「じゃあ、はい」
祐巳は少し上を向いて、目を瞑った。
「これが蔦子さんとキスする時の私の顔だよ」
「私の祐巳さんはそんなブサイクじゃないよ」
「ひどーい。私がその愛しの祐巳さんだよ」
「そうだったね、それじゃあ」
蔦子さんはカメラをおろすと目を瞑っている無防備で小鳥のような祐巳の唇にそっとキスをした。
「写真は撮れた?」
「ばっちり、私の心のシャッター切っときましたから」
「心の写真、色褪せないといいね」
「祐巳さんの癖に生意気な」
乃梨子の場合。
「乃梨子ちゃん、キスしよっか?」
「祐巳さま、こんなところもし誰かに見られたらどうするんですか」
「ダメ?」
「そんな甘えた声出したって」
「ダメかな?」
「ダメじゃないです! むしろ本望っす」
「じゃあ乃梨子ちゃんから」
「うわ」
「どうしたの?」
「祐巳さまからご来光が」
「ご来光って、私はお天道様か」
「そうですね。でも私にとって祐巳さまはお日様みたいな人ですよ。いっつもニコニコしていて私を暖かい気持ちにしてくれます」
「いつも笑っていられるのは乃梨子ちゃんが傍にいてくれるからだよ?」
「祐巳さま」
「乃梨子ちゃん」
二人の距離が縮まってあと少しで重なるところで突然祐巳が口を開いた。
「ねえ、私と仏像どっちが好き?」
「え」
「どっち?」
「それはもちろん仏……祐巳さまに決まってるじゃないですか」
「今、仏像って言おうとしなかった?」
「そんなわけないですよ」
「まったく、でも今はそれでもいいよ。許してあげる」
祐巳は乃梨子の頬にキスをして離れた。
「え」
「仏像より私が好きになったら今度はちゃんとしてあげるね」
「祐巳さまーーー」
志摩子の場合。
「志摩子さん、キスしよー」
「ダメよ、祐巳さん。ここは学校よ」
「でも、今したいな」
「もう、祐巳さんったら」
「へへ、だって志摩子さん見てたら急にしたいなって思っちゃったんだもん」
「祐巳さんは甘えんぼさんなんだから」
「志摩子さんだからだよ」
「少しだけよ」
「うん」
子犬のように尻尾を振っておねだりする祐巳に志摩子はそっと口づけをした。
黒志摩子の場合。
「祐巳さん、キスしましょうか」
「ダメだよ、学校だよ?」
「そう言って、祐巳さんは私となんかキスしたくないんでしょう?」
「違うよ!」
「嘘、お姉さまとはしてたくせに」
「あ、あれは」
「あら、本当にしてたの?」
「え?」
「鎌をかけてみただけだったんだけど、それでお姉さまとのキスはどんな感じだった?」
「うっ」
「大人のキスかしら? それともそういうのはまだなのかしら?」
「あ、あの」
「どうなの?」
「怒ってる?」
「いいえ、怒っていないわよ」
「ごめんなさい」
「祐巳さん、顔をあげて」
「ん……ふぁ」
(描写省略)
祥子さまの場合。
「祐巳、目を瞑りなさい」
「はい」
「で、祐巳どうすればいいの?」
「へ、どうすればとは?」
「だからキスをする時の話よ。例えば手は腰にまわした方がいいのかとか、肩に置いたほうがいいのかとか、そういう話よ」
「えっと、置きやすい場所でいいんじゃないんですか?」
「それじゃあダメなのよ。祐巳との初めてのキスなんだから、出来るだけいい思い出にしたいじゃない」
「それじゃあ、お姉さま。そんな固くならないでお姉さまらしくしていてください。それが私にとって一番いい思い出になります」
「そう?」
「はい」
「祐巳がそういうなら」
人のいない薔薇の館。
二人の影が重なるのを扉の隙間から見つめていた生徒が二人。
「ああやってお姉さまをコントロールしてるのね、さすが祐巳さん」
「由乃ー。こんなのまずいよー」
「うっさい。令ちゃんは黙ってて、今いいところなんだから」
桂さんの場合。
「あれ?」
「祐巳さん、何の冗談よ」
「だって、桂さんの体透けてるよ」
「何言ってるの。そんなことあるわけないじゃない、ほら…………嘘でしょ?」
「桂さん……」
「何でよ。何で祐巳さんに触れないのよ!」
「消えないで、桂さん! 私、桂さんが大好き。例え出番が全然なくたって忘れたりしないよ。だから、お願い」
「祐巳さん、私も消えたくない。でも、あんまり長く時間が残されてないみたい。もう体が消えかかってきてるよ」
「桂さん!」
祐巳は徐々に見えなくなっていく桂さんを引き止めるようにキスをする。唇が触れる感触はなく、ただ冷たい空気がかすめるだけだった。
「祐巳さん、ありがとう」
桂さんは見えなくなった。
「……はっ!」
「どうしたの、桂さん」
「怖い夢を見た」
「どんな夢?」
「私の出番がなくなる夢」
「馬鹿だね」
祐巳は落ち込む桂さんにそっとキスをした。
「私は桂さんのこと忘れたりなんかしないよ」
「祐巳さん、ありがとう」
「もっとも出番がなくなるのは現実だけどね」
「やっぱりそうか……」
祐麒の場合。
「祐麒、入るよ」
「ああ、ってなんてカッコしってんだよ」
「いいじゃない。ちょっとくらい。お姉さんに欲情しちゃ駄目だよ」
「誰が、で何のようだよ」
「辞書借して」
「勝手に取れよ。明日テストで忙しいんだから」
「ちょっとはお姉さんを大事にしなさい!」
「いきなり何するんだよ」
「スキンシップよ」
「胸あたってるってーの」
「可愛げがないな」
「祐巳はな!」
祐麒は立ち上がると祐巳をベッドに押し倒した。
「俺が男だって全然分かってない」
「それくらい分かってるよ」
「分かってない! 俺だって男なんだぞ。そんなカッコで誘ってんのかよ!」
「やっと気づいたの?」
「へ?」
呆ける祐麒の顔を掴むと祐巳は自分に引き寄せてキスをした。
「私だって女の子なんだから」
「ゆーみちゃん、ちゅーさせてよ。ちゅー」
「何馬鹿なことおっしゃってるんですか? ここ学校ですよ」
「いいじゃん、けち」
「よくありません」
「じゃあ、いいよ。蓉子にでもしてもらおうかな」
「あ、」
「どうしたの?」
「ニヤニヤしないでください」
「ニヤニヤ」
「もういいです! 蓉子様にでもキスしてもらえばいいじゃないですか」
「ごめーん。怒んないでよ」
「許しません」
「ごめんってば」
「聖さまはいつだってそうやって」
「そうやって?」
「そうやって私の気持ちを弄んで遊ぶんです!」
ぐい、と聖さまの腕を引っ張って祐巳は聖の唇に自分のそれを押し当てた。
蓉子様の場合。
「ねえ、祐巳ちゃん?」
「はい!」
「その、キスしない?」
「えっ?」
「こ、こんなことをこんな場所で言うのは私もどうかと思うのよ。それは自分が一番よく分かっているの。私も自分の気持ちが不思議なくらい」
「えっと」
「ええ、分かっているわ。そうやって軽蔑の目で私を見ないで。こんなことを考える私のことを軽い女だとか節操がないって思っているんでしょう?」
「あの」
「いいの。軽蔑されてもしょうがないことを私は言ったのだから、でも祐巳ちゃんを見てるとなぜか自分のことが……」
祐巳の言葉をまるで聞こうとしない蓉子さまの口を自分の口でふさいだ。
蓉子様は信じられないように目を見開いていた。
どれくらいそうしていただろうか。ようやく二人は離れた。
「私も蓉子さまとキスしたいと思ってました」
祐巳の一言に蓉子さまはリンゴのように顔を真っ赤にして下を向くのだった。
江利子様の場合。
「祐巳ちゃん」
「はい!」
「私が今、何を考えてるか分かる?」
「えー、分かりませんよ」
「じゃあ当ててみて」
「えっと、メンバーの集まりが遅いとか?」
江利子さまは首を振る。
「最近、令さまのへたれぷりに磨きがかかってるとか」
「祐巳ちゃん、そんなこと思ってたの?」
「いえ、今のは江利子さまの気持ちを予想して言っただけです。私はそんなこと思ってませんよ」
「ふふ」
「嘘じゃありません!」
「まあ、いいわ。そういうことにしといてあげるから」
「せめてヒントをください」
「そうね、面白いこと……かな?」
「そんなのわかるはずないじゃないですか」
「そう?」
「そうですよ」
「じゃあ、答え教えてあげるわ。祐巳ちゃんの唇がどんな味なんだろうって思ってたのよ」
「えっ?」
祐巳が江利子さまの答えの意味を頭の中で咀嚼する前に江利子さまの唇が祐巳の唇を奪っていた。
「ストロベリー、とはさすがにいかないわね」
「え、えーーーーーーーーーー」
由乃さんの場合
「祐巳さん、好きだーーーーーーー」
「うわっ」
祐巳は突然襲い掛かってきた由乃さんに強引にキスされた。
可南子の場合
「可南子ちゃんにキスするとなると、私は階段三つくらい上がらなきゃいけくなるね」
「祐巳さま、階段を三つも上がってしまっては高さの問題を解決できても距離の問題で届かなくなってしまうのでは?」
「あ、そうか」
「そうです。それに祐巳さまがもし私にキスをしたいとおっしゃるならばしゃがんで背を合わせるくらいやってみせます」
「それじゃあ意味がないんだな」
「それはどういう?」
「こうね、もっと自然の流れでしたいなー、と」
「自然の流れですか? それなら」
そう言うと可南子は祐巳の頬に手を当てて優しくキスをした。
「こうするのが一番自然だと私は思います、祐巳さま」
景さんの場合
「祐巳ちゃん」
「景さま」
見つめ合う二人。
「本当にいいんですか?」
「いいの。やらせて。……むしろやりたい」
「はい」
蔦子さんの場合
「困った」
「どうしたの? 蔦子さん」
「いや、撮りたい写真があるんだけど、どうやって撮っていいかわからなくて」
「珍しいね、写真部のエースでもそんなことで悩むんだ。どんな写真が撮りたかったの?」
「私の好きな人が、私とキスをする時に見せる顔」
「それは難しいね」
「うん。カメラ構えたまま、キスするわけにもいかないからね」
「じゃあ、はい」
祐巳は少し上を向いて、目を瞑った。
「これが蔦子さんとキスする時の私の顔だよ」
「私の祐巳さんはそんなブサイクじゃないよ」
「ひどーい。私がその愛しの祐巳さんだよ」
「そうだったね、それじゃあ」
蔦子さんはカメラをおろすと目を瞑っている無防備で小鳥のような祐巳の唇にそっとキスをした。
「写真は撮れた?」
「ばっちり、私の心のシャッター切っときましたから」
「心の写真、色褪せないといいね」
「祐巳さんの癖に生意気な」
乃梨子の場合。
「乃梨子ちゃん、キスしよっか?」
「祐巳さま、こんなところもし誰かに見られたらどうするんですか」
「ダメ?」
「そんな甘えた声出したって」
「ダメかな?」
「ダメじゃないです! むしろ本望っす」
「じゃあ乃梨子ちゃんから」
「うわ」
「どうしたの?」
「祐巳さまからご来光が」
「ご来光って、私はお天道様か」
「そうですね。でも私にとって祐巳さまはお日様みたいな人ですよ。いっつもニコニコしていて私を暖かい気持ちにしてくれます」
「いつも笑っていられるのは乃梨子ちゃんが傍にいてくれるからだよ?」
「祐巳さま」
「乃梨子ちゃん」
二人の距離が縮まってあと少しで重なるところで突然祐巳が口を開いた。
「ねえ、私と仏像どっちが好き?」
「え」
「どっち?」
「それはもちろん仏……祐巳さまに決まってるじゃないですか」
「今、仏像って言おうとしなかった?」
「そんなわけないですよ」
「まったく、でも今はそれでもいいよ。許してあげる」
祐巳は乃梨子の頬にキスをして離れた。
「え」
「仏像より私が好きになったら今度はちゃんとしてあげるね」
「祐巳さまーーー」
志摩子の場合。
「志摩子さん、キスしよー」
「ダメよ、祐巳さん。ここは学校よ」
「でも、今したいな」
「もう、祐巳さんったら」
「へへ、だって志摩子さん見てたら急にしたいなって思っちゃったんだもん」
「祐巳さんは甘えんぼさんなんだから」
「志摩子さんだからだよ」
「少しだけよ」
「うん」
子犬のように尻尾を振っておねだりする祐巳に志摩子はそっと口づけをした。
黒志摩子の場合。
「祐巳さん、キスしましょうか」
「ダメだよ、学校だよ?」
「そう言って、祐巳さんは私となんかキスしたくないんでしょう?」
「違うよ!」
「嘘、お姉さまとはしてたくせに」
「あ、あれは」
「あら、本当にしてたの?」
「え?」
「鎌をかけてみただけだったんだけど、それでお姉さまとのキスはどんな感じだった?」
「うっ」
「大人のキスかしら? それともそういうのはまだなのかしら?」
「あ、あの」
「どうなの?」
「怒ってる?」
「いいえ、怒っていないわよ」
「ごめんなさい」
「祐巳さん、顔をあげて」
「ん……ふぁ」
(描写省略)
祥子さまの場合。
「祐巳、目を瞑りなさい」
「はい」
「で、祐巳どうすればいいの?」
「へ、どうすればとは?」
「だからキスをする時の話よ。例えば手は腰にまわした方がいいのかとか、肩に置いたほうがいいのかとか、そういう話よ」
「えっと、置きやすい場所でいいんじゃないんですか?」
「それじゃあダメなのよ。祐巳との初めてのキスなんだから、出来るだけいい思い出にしたいじゃない」
「それじゃあ、お姉さま。そんな固くならないでお姉さまらしくしていてください。それが私にとって一番いい思い出になります」
「そう?」
「はい」
「祐巳がそういうなら」
人のいない薔薇の館。
二人の影が重なるのを扉の隙間から見つめていた生徒が二人。
「ああやってお姉さまをコントロールしてるのね、さすが祐巳さん」
「由乃ー。こんなのまずいよー」
「うっさい。令ちゃんは黙ってて、今いいところなんだから」
桂さんの場合。
「あれ?」
「祐巳さん、何の冗談よ」
「だって、桂さんの体透けてるよ」
「何言ってるの。そんなことあるわけないじゃない、ほら…………嘘でしょ?」
「桂さん……」
「何でよ。何で祐巳さんに触れないのよ!」
「消えないで、桂さん! 私、桂さんが大好き。例え出番が全然なくたって忘れたりしないよ。だから、お願い」
「祐巳さん、私も消えたくない。でも、あんまり長く時間が残されてないみたい。もう体が消えかかってきてるよ」
「桂さん!」
祐巳は徐々に見えなくなっていく桂さんを引き止めるようにキスをする。唇が触れる感触はなく、ただ冷たい空気がかすめるだけだった。
「祐巳さん、ありがとう」
桂さんは見えなくなった。
「……はっ!」
「どうしたの、桂さん」
「怖い夢を見た」
「どんな夢?」
「私の出番がなくなる夢」
「馬鹿だね」
祐巳は落ち込む桂さんにそっとキスをした。
「私は桂さんのこと忘れたりなんかしないよ」
「祐巳さん、ありがとう」
「もっとも出番がなくなるのは現実だけどね」
「やっぱりそうか……」
祐麒の場合。
「祐麒、入るよ」
「ああ、ってなんてカッコしってんだよ」
「いいじゃない。ちょっとくらい。お姉さんに欲情しちゃ駄目だよ」
「誰が、で何のようだよ」
「辞書借して」
「勝手に取れよ。明日テストで忙しいんだから」
「ちょっとはお姉さんを大事にしなさい!」
「いきなり何するんだよ」
「スキンシップよ」
「胸あたってるってーの」
「可愛げがないな」
「祐巳はな!」
祐麒は立ち上がると祐巳をベッドに押し倒した。
「俺が男だって全然分かってない」
「それくらい分かってるよ」
「分かってない! 俺だって男なんだぞ。そんなカッコで誘ってんのかよ!」
「やっと気づいたの?」
「へ?」
呆ける祐麒の顔を掴むと祐巳は自分に引き寄せてキスをした。
「私だって女の子なんだから」
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コメント
No title
他は全部萌え系なのに、桂さんのとこだけなんか妙に感動しました…(涙)
No title
コメントありがとうございます。
桂さんのところは確かに他とはちょっと違いますね。しかし、感動していただけるとは思っていませんでした。
桂さん好きなキャラだけに嬉しいです。
桂さんのところは確かに他とはちょっと違いますね。しかし、感動していただけるとは思っていませんでした。
桂さん好きなキャラだけに嬉しいです。
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